従来の「透析 (HD)」に加えて「濾過 (F)」の原理を組み合わせることで毒素をよりバランス良く除去する方法が「血液濾過透析 (HDF)」です。「濾過」は腎臓が尿を生成するメカニズムより近く、透析に比べて大きな分子の除去特性があります。特にオンラインHDFは極めて清浄な透析液を大量に使用することで、その効率を高めることが可能です。日本でのオンラインHDFは2012年に正式に保険適応となり現在クリニックでは患者さん全員にこのオンラインHDFを行っています。
オンラインHDFの効果として透析中の血圧が下がりにくい、かゆみ、いらいら感や不眠症の軽減、貧血、しびれ、長期透析による骨や関節症状の改善が報告されています。また長期的には透析アミロイドーシスの進行抑制、栄養指標の改善、免疫能改善による感染症の低下、動脈硬化の進行抑制が期待されています。
さらに当院では濾過に比べてリンやカリウムといった小分子物質の除去効率の高い「透析」部分にも力を入れています。従来の透析装置における標準的な透析液供給量が毎分500mLであったのに対し、現在使用しているコンソール(東レ社製TR-3000MA)では毎分700mLの流量で透析および濾過を行います。高度に清浄化された水(ultra pure water)の使用とHDFの導入で透析中の血圧の低下が大幅に抑制され、その結果血流量を増加し透析効率を上げることが可能となりました。
「濾過」による大きな分子の除去も大切ですが「透析」による小分子物質の除去がきちんと出来ていなければ「しっかり透析」になりません。クリニックではその方の体格や検査結果、血圧や心機能に応じて血流量を調整し高効率の透析を行っています。最大血流量は400ml/min(平均330ml/min)、平均透析効率(Kt/V)は2.1を維持しており、β2マイクログロブリンは平均22〜23mg/Lです。透析の高効率化により特に血清リン(P)の低下を認め、リン吸着薬を適宜併用することで当院では基本的に蛋白制限を設けていません。一回あたりの平均透析時間は4時間ですが、一回6時間(週18時間)の長時間透析を行っている方もいます。
オンラインHDFに加えて高血流高効率の治療を行っている当院の患者さんの多くは、全国平均よりも低い血清リン値でありながら、栄養状態の指標とも言える血清アルブミンは逆に全国平均よりも高く維持されています。
※図は2015年日本透析医学会学術集会(横浜)における当院の発表演題
「当院におけるOn-line HDFの取り組みと臨床結果」から転載。
従来の透析液では酸性に傾いた血液をアルカリ性に戻すために「酢酸」が使用されてきました。酢酸そのものは「酸」ですが肝臓でアルカリ化作用を持つ物質に代謝されるためです。
しかしこの酢酸は嘔気・嘔吐、頭痛、血圧低下等の症状を引き起こすことも知られています。現在の透析液中の酢酸濃度はかなり低く設定されていますが、酢酸は少量でも心機能の抑制や血管拡張作用を有し、透析中の血圧低下に寄与すると考えられています。
そこで須坂・腎透析クリニックでは酢酸を全く含まない無酢酸透析液(カーボスター)を採用しています。作成された透析液は専門の臨床工学技士が日々評価を行い安全に供給する体制を完備しています。
〒382-0099
長野県須坂市墨坂4-6-1
TEL.026-214-3020
FAX.026-248-6524
MAIL.info@kidney-suzaka.com
地域医療機関との連携
当院は下記の施設において、 登録医として認定されて おります。